「珍味のナス」

今日は、経営とかにあまり関係ないネタで恐縮です。
大体、そうですが…

「珍味のナス」という言葉で検索すると、結構色々
出てきて驚きます。

私が通っていた大学(早稲田大学)の近くに、
「珍味」という学生向けの中華料理屋さんがありま
した。大学に行くと、ほとんどそこでご飯を食べて
いました。

2年生くらいまでは「あおーぜ」という、あまり美
味しくないという評判のため必ずすいている店によ
く行っていましたが、「あおーぜ」が突然なくなり、
珍味ばかりに通うようになりました。

珍味には、料理メニューがたくさんありました。普
通にラーメンとかチャーハンとか、レバニラ炒めな
どの定食類も充実していたように思います。

本来であればいろいろと食べるところなのですが、
そこではほとんど「ナスと豚肉の味噌炒め定食」
(正式名称は違うかも)、通称「ナス」ばかり食べ
ていました。

たまに唐揚げ定食(通称「からあげ」)を食べまし
たが、9割2分8厘くらいはナスでした。

店のおやじさんが、頑固な江戸っ子みたいな感じの
人だったのですが、「ナス」と「からあげ」以外を
頼むと、キレるのです。

初心者はいろいろ頼むのですが、オヤジは「うちは
ナスとからあげだけだよ」みたいに言って、仕方な
くナスかからあげを頼みます。

ただ、それがどちらもめちゃくちゃおいしいので、
多くの人がハマっていくという流れです。

その「ナス」が本当に、なんともおいしかったので
す。今思えば、安かったですし、そこまで高価な具
材を使っているとは思えないし、高級ではなく、庶
民的な味で、脂っこい感じです。

しかし、なんともおいしいのです。
卒業の際には、有名人でもないのに、色紙に仲間数
人で何か書いて、店に飾ってもらいました。

オヤジさんとは共通の趣味(競馬)があったので、
仲良くなって、色々お話をさせてもらいました。
べらんめえ口調で競馬のことを熱く語るのです。
結構負けているみたいでしたが…

卒業してからもたまにそこに訪れていましたが、
遠いこともあり、足は遠のきました。

2000年くらいには、大学の近くにその店が無くなっ
ており、「ああ、潰れてしまったのか」と思って
いました。

2005年に独立してから、たまたま高田馬場の会社に
毎月お邪魔しており、ランチを探していたところ、
たまたま早稲田通りに「珍味」を見つけ、それがあ
の「珍味」であったことで、狂喜乱舞しました。

そして毎月、また珍味に通うことになります。オヤ
ジさんは覚えてくれていて、ナスを食べながらいろ
いろなことを話しました。

しかし2009年、悲劇が訪れます。オヤジさんがもう
体力の限界から「店をたたむ」と言い出したのです。
残念ながら2009年7月に閉店となりました。
「ナス」が食べられなくなってしまったのです。

その後住所とお名前をお聞きし、年賀状のやり取り
をしていたのですが、いつのまにかそれも無くなっ
てしまいました。

今でも奥さんとお元気でいらっしゃると信じていま
すが、もう「ナス」は食べられません。

年賀状(たぶんもう無いのですが)を探してオヤジ
さんに会いに行き、ナスを作ってもらうことも考え
たりしたのですが、迷惑な話です。

そこで、「ナス」を再現できないかを何度か試して
みました。ネットには「珍味のナス」を懐かしがる
面々がおり、レシピが載っていたりします。

それをみて作るのですが、料理が下手でもあり、全
くうまくできないのです。あの絶妙な味付けやナス
の「しんなりしてるけどシャキシャキ感」が再現で
きないのです。

諦めていましたが、ふとオヤジとナスが夢に出てき
たこともあり、今後また再現を目指して頑張ろうと
いう気が湧いてきました。

また、おいしい「ナスと豚肉の味噌炒め」を出して
くれる飲食店を探そうと思っています。

これを読んでくださっている人で、「珍味のナス」
を知っている人は少ないでしょうし、それに匹敵す
るような「ナス」を見つけている人もいないでしょ
う。

しかし、どこかに美味しい「ナス」を出してくれる
お店があるとか、「作れるよ」という人は、ぜひ教
えてほしいと思います。

たぶん無理だと思いますが、一縷の望みをかけて、
この記事を書いてみました。

それぞれ、思い出の食べ物などがあるはずです。そ
の再現のために頑張ろう、というのも、楽しい人生
の一部になると思います。

みなさんの、思い出の食べ物は何でしょうか。