人生とお金(6)引退時にどのような状態にするのかを決める

引退後の生活費、収入などを計算したら、「引退時にどれくらいのお金を持っていればいいか」ということがある程度決まるでしょう。それが決まれば、その状態を作るために、これから何をどうしていけばよいか、ということもある程度決めることが可能になるはずです。

例えば、自分は現在50歳であり、70歳まで仕事をしたい、また、自分の健康状態などから見て、90歳まで生きると考えたとします。「何歳まで生きるか」ということは、誰にも予想がつかないものですので、これはあくまで自分が勝手に推定して決めてもいいということになります。もちろん120歳を目指して生きると決めてもいいでしょう。

それを決めたら、引退後に必要な生活費を決めてしまいます。これも、自分が決めなければなりません。統計を見て標準的な額を当てはめるという手もありますが、基本的には、自分が決めていいのです。月100万円を使ってぜいたくな暮らしを続けてもいいでしょうし(破綻する可能性が増えますが)、標準的に夫婦2人で月25万円、などと決めてしまってもいいです。Excelなどで生活費を項目ごとに積み上げて計算するのが良いでしょう。これを例えば30万円とします。そして、次に年金のもらえる額を計算します。毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」に、もらえる年金の概算の額が書いてあります。これはあくまで「今までの実績による年金額」ですので、これから年金にどれくらい加入するか、年金を60歳までに何か月分支払うことになるか、そしてこれからの給与額などによって変わってきます。20歳になってから60歳までの40年間、しっかり払っていたら、「老齢基礎年金」として年間約78万円(令和3年)をもらうことが出来ます。加入月数が減ればその分減っていきます。

会社員だった場合や、会社を経営して厚生年金を支払ってきた場合は、老齢厚生年金をもらうことが出来ます。これは実績の給与額によってだいぶ変わってきます。自営業(個人事業主)の期間が長かった場合などは、この老齢厚生年金がなかったり額が少なかったりします。老齢厚生年金も、これまでの実績による支給額が「ねんきん定期便」に載ってきますので、計算してみてください。

決めた引退後の生活費から年金額を引き、それに(自分が死ぬ年齢-引退年齢)を掛けると、引退時に必要な貯金額が計算されます。上記に示した今の年齢から引退年齢までの年数は20年ですので、例えば生活費から年金額を引いた金額が150万円とすると、引退時に必要な金額は3,000万円となります。

実は、投資を行って上手く運用することで、単純に3,000万円を貯める必要がなくなりますし、3,000万円を死ぬまで残せるかどうかという心配も減るのですが、まずは単純に、ここでは「引退時にいくら必要か」ということを計算出来たということになります。この数字を一度出しておきましょう。