人生とお金(16)年金は崩壊しない。あてにしていい。

将来のキャッシュフローという意味では、高配当株と同じように、「年金」が代表的なものとして挙げられます。

数十年前から、「年金制度は崩壊するのではないか」と言われてきました。確かに、構造から考えると、年金制度は崩壊してもおかしくはありません。あくまでもイメージですが、昭和は1人の高齢者を5人の若者や働き盛りの人たちで支えるイメージから、これからは1人の高齢者を1人が支える、あるいは2人の高齢者を1人が支えていかなければいけない、こんな感じになっています。日本では高齢化が進んでいるので仕方がないことです。

現在の年金の方式は「仕送り方式」と言われ、現役世代が保険料を出し、引退世代がその保険金(年金)をいただくような方式が取られています。現役時代に積み重ねた保険料を、引退後にもらえるという方式ではありません。なので、現役世代が少なくなり、引退世代が多くなれば、自然に年金制度が厳しくなります。なので、どんどん保険料が高くなっていて、さらにもらえる年金も減らされていったり、もらえる年齢が高くなっていったりしています。この流れはこれからも続くでしょう。今すでに引退している世代は、生きていくのに十分な年金がもらえている人も多いですが、これからは年金だけでは生きていけない、と言う人も増えていくはずです。

だからと言って、年金制度が完全に崩壊したり、年金を払い続けてきたのにもらえる年金がゼロになってしまうようなことはあまり考えられません。なぜかというと、年金自体が「国の重要な機能の一つ」と言えるからです。

国の重要な機能は色々ありますが、そのうちの一つとしてとても重要な機能は、「所得の再分配」です。税金も、多く稼いだ人や多く持っている人からもらい、稼ぎが少ない人たちに配るという分配機能の一つですが、年金もその機能の一つです。稼いだ人は多くの年金保険料を払いますが、もらう額がそれほど多くなかったりします(もちろん、多く保険料を払ってきた人への年金額は相対的に大きくなります)。

国の重要な機能である分配機能が無くなるということは、国の崩壊を意味するでしょう。年金が無くなるということは、国もなくなってしまう。極端に言ってしまうとそうなります。国が機能している限り、年金が完全になくなることはないと考えられます。

だからと言って安心できるわけではありませんが、ある程度年金は当てにして、しっかり年金保険料を払い続けることが大切です。ただ、年金保険料や健康保険料をたくさん払い続けたとしても、その恩恵はあまり大きくありません。なので、それほど無理はせず、年金以外の投資などもしていかなければなりません。年金は当てにしてもいいですが、それだけでは不十分です。そのための投資については、これから学んでいきましょう。