過去を後悔せず、今を嘆かず、未来を変える

人間、どうしても、過去のことを後悔したり、今の
状態を嘆いてしまい、不満足な状態になってしまう
ものだと思います。

もちろん、今が完全に満足、という人は多くはない
でしょう。何かしら自分に満足しないことがあるも
ので、それは正常な状態ということができます。

ただ、あまりに、今の状態を嘆いたり、気にしたり
すると、将来についても悲観的になりがちです。

いまこのような状態だから、将来もダメだろうとか、
自分は大したことないからこの先も多くは望めない
とか、今の成績がこうだから将来も伸びないだろう
とか。

でも、将来のことなど誰にも予測できませんし、変
えようと思えば変えることは可能です。

自分だけでなく、周りの環境が大きく変化する可能
性もあります。

今と将来はあまり関係ありません。

「今、こうだから、将来はこうなるだろう」と思
ってしまえば、そのように収まってしまうかもしれ
ませんが、

「今はこうだけど、このようになりたい。だからこ
うしよう」と思いながら生きていけば、何かが変わ
るかもしれません。

また、環境が自分にとって有利に働くかもしれませ
ん。

今の状態は、これまでの自分の選択と、周りの環境
などにより作られてきたものですが、

これからの状態は、これからの自分の選択と、周り
の環境などにより作られていきます。

これからを変えることは可能です。

よく、「他人と過去は変えられないが、自分と未来
は変えられる」と言います。まさにその通りだと思
います。

健康状態、お金のこと、仕事のこと、成績、運動神
経、体重、恋愛、人間関係などなど。まだまだある
でしょうが、すべてに同じことが言えます。

過去は後悔せず反省して将来に生かす。

現在を嘆くのではなく、これからのことを考える。

このようにして、将来よくなっていくように考えま
しょう。

その結果、大したことにならない場合もあるでしょ
う。僕もその繰り返しで生きています。

しかし、将来に希望を見て、生きていく方が楽しい
ですし、これからを工夫して生きていったり、計画
を立てたり、楽しもうと決めたり、やりたいことを
やっていこうなどと考えることです。

それができれば、必ず未来は明るいです。

「またダメだった」ということもあるでしょう。で
も、前を向いていきましょう。

将来は無限なのです。

人生とお金(19)生活費とは別に、余剰資金を確保する

引退後、生活費を下げたとしても、その生活費だけでは充実した人生を送ることが出来ると限りません。ある程度の余剰資金を確保して余裕を持つとか、毎年旅行に行ったり自分が好きなことができたりする位の資金を毎年確保するなどのことが、充実人生に必要でしょう。

例えば、毎月の必要生活費が、夫婦2人の場合で25万円だったとします。その場合、年金+配当などの不労所得、または仕事をすることによる収入は、毎年300万円(手取り)でOKということになりますが、それだけでは何かあったときとか、旅行をしたりするなどの、少し余裕のある生き方ができなくなります。

また、家の修繕費なども考えなくてはなりません。家が老朽化すると、なんやかんやでお金がかかるものです。生活費を下げてそれを賄うのにも限界があります。この場合、やはり余剰資金を確保して、年間数十万円などの余裕を生み出す必要があるでしょう。

そこで必要なのは、不労所得または労働所得ということになるでしょう。不労所得は、金融資産等の資産を、なるべく若い時から積み上げていくことが大事ですし、労働所得は、若い時から健康を意識して、健康を維持することが大事といえるかもしれません。

また、労働して賃金を得るだけではなく、若い時から信頼を得るなどして、あまり労働しなくても報酬が得られるように考えておくことも大切と言えます。

何事も、「その時」になってから考えるのではなく、なるべく早いうちから、つまり、一番若い「今」から準備しておくことが大切なのです。「今」が何歳であるかなどは関係ありません。繰り返しになりますが今が一番若いので、今からやっていきましょう。

人生とお金(18)生活費を下げることが最強の味方になる

引退後の生活費を計算しましょうという話をしました。生活費は300万円かかる、という前提でお話をしましたが、この引退後の生活費が減れば減るほど、楽になっていき、必要なお金も減っていきます。引退後に必要なお金が減ると、貯めたり投資をしたりして増やしていくべき金額も少なくなるので、現役時代も楽になるということです。

これまで例として挙げているように、もらえる年金が200万円で、必要な生活費が年間300万円だとします。このとき、毎年100万円が不足するため、100万円×引退後生き抜く年数のお金を貯めるか、毎年100万円のキャッシュフローを準備しなければなりません。引退後30年生きるとすれば、3,000万円を貯めるか、毎年100万円のキャッシュフローを生み出す資産(利回りが4%だとすれば、2,500万円)を投資等で作る必要があります。

年金が200万円もらえればまだいい方で、年金が国民年金だけだったり、もらえる年金が全くなかったりする人もいるでしょう。年金が100万円しかもらえず、生活費が300万円となると、年間200万円不足するわけですから、200万円×30年で6,000万円を貯めるか、利回り4%として5,000万円も準備する必要があるのです。この数字は、多くの人にとってとても大変な数字だと思われます。

引退後の生活費を小さくすることが出来れば、安心です。年金だけで賄うこともできるでしょうし、それにプラスして毎年のキャッシュフローを確保できているのであれば、そのお金で小遣いとして楽しんだり、旅行に行ったり、自分が好きなことをやるなどして楽しく充実した人生を送れるのです。

ただ、「引退してから生活費を大幅に下げよう」と思ったとしても、それはなかなか難しいこととなります。実感している人も多いでしょうが、収入が増えたときに生活費を上げて贅沢をすると、収入が下がった時に生活水準を下げることがとても難しくなります。「毎月これくらいならいいや」と思って支払っている料金があったとして、それを申し込むのはとても簡単ですが、解約することはとても難しいという側面もあります。一度贅沢をするとそれをやめるのはとても難しいのです。

だから、仕事をしているときから、引退後も視野に入れ、贅沢を決してしないという意気込みで生きていきましょう。「いいところに住む」ことは大切なことではありますが、あまりにも居心地重視でいいところに住めば、その分いろいろな費用が嵩み、生活費が上がっていくものです。収入が上がっても住居をはじめとした生活費をあまり上げないようにしましょう。それが引退後にも影響してきます。

とにもかくにも、引退後の生活費を設定し、それが実現できるような生き方を今から考えて変えていきましょう。貧乏生活でなくてもいいですが、生活費が下がると、いろいろな面で好影響なのです。

人生とお金(17)年金+キャッシュフローで生きていこう

年金は崩壊しない、だから年金保険料を払い続け、もらえる権利はしっかりもらっていこうという話ですが、自分の年金はどうなるのか気になる人も多いかと思います。それは、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」などで確認しましょう。ねんきん定期便は、毎年誕生月に送られてくるもので、これまでの年金加入実績や、今の状態で将来年金がいくらもらえるか試算されたものが載っています。その年金額が保証されているわけではありませんが、国が責任をもってその数字を国民に知らせているのですから、もらえると考えてもいいのではないでしょうか。

また、「ねんきんネット」にログインし、今後の仕事や給与がどのようになるか、あくまでも予定ではありますがそのような情報を入れると、もっと正確にどれくらいの年金がもらえそうかということがわかります。これも勿論、確実な数字ではありませんが、ある程度の目安になるでしょう。

それから、ぜひやっていただきたいのが、前にも述べていますが、「引退後の生活費の計算」です。仕事を引退した後、どれくらいのお金が必要かを計算します。家がどうなっているのか(持ち家か賃貸かなど)、将来毎月どれくらいの生活費が必要なのか、どれくらいの小遣いを使っていきたいのか、趣味にはどれくらい使いたいのか、などの情報や希望を元に、将来毎月いくら必要かなどを計算してみましょう。結婚している人は、夫婦2人でどれくらいの金額になるかを計算します。結婚していなければ1人でいくらになるかを考えます。インフレになればその金額が高くなるかも知れませんが、そんなことは誰にもわからないので、とりあえず今の金額水準で考えてみましょう。 

例えば必要生活費が年間300万円、もらえる年金が200万円になったとします。ごく単純な計算ですが、その場合の不足額は100万円です。その100万円をどうにかしなければなりません。生活を切り詰め、節約して必要生活費を200万円に下げるのも一考です。それが出来ない場合は、100万円を何とかしましょう。

65歳で仕事をやめても、100歳まで生きる可能性があると考えれば、かなりのお金が必要となります。65歳までに貯めたお金を100万円ずつ取り崩していくと考えれば、100歳までに3,500万円も必要となります。それはなかなか厳しい、そんな場合は、不足する100万円を、何とか「キャッシュフロー」で賄えないかを考えましょう。例えば株を買って4%の配当を毎年もらえる状態なのであれば、2,500万円分の元本を持っていれば毎年100万円を得ることが出来るので、それで済むかもしれません。インデックス投資(インデックスファンドを買っていく)をしていて2,500万円の元本を持ち、年に4%ずつ取り崩していくとしても100万円を得ることが出来ます。これがキャッシュフローであり、不足する生活費(や遊興費)を補うことができるものです。「2,000万円問題」で、同じ2,000万円を貯めるのであれば、取り崩して残高が減っていくものだけではなく、高配当株などのように毎年お金を生んでくれるものを貯めていきましょう。それが引退後の人生を助けてくれます。

人生とお金(16)年金は崩壊しない。あてにしていい。

将来のキャッシュフローという意味では、高配当株と同じように、「年金」が代表的なものとして挙げられます。

数十年前から、「年金制度は崩壊するのではないか」と言われてきました。確かに、構造から考えると、年金制度は崩壊してもおかしくはありません。あくまでもイメージですが、昭和は1人の高齢者を5人の若者や働き盛りの人たちで支えるイメージから、これからは1人の高齢者を1人が支える、あるいは2人の高齢者を1人が支えていかなければいけない、こんな感じになっています。日本では高齢化が進んでいるので仕方がないことです。

現在の年金の方式は「仕送り方式」と言われ、現役世代が保険料を出し、引退世代がその保険金(年金)をいただくような方式が取られています。現役時代に積み重ねた保険料を、引退後にもらえるという方式ではありません。なので、現役世代が少なくなり、引退世代が多くなれば、自然に年金制度が厳しくなります。なので、どんどん保険料が高くなっていて、さらにもらえる年金も減らされていったり、もらえる年齢が高くなっていったりしています。この流れはこれからも続くでしょう。今すでに引退している世代は、生きていくのに十分な年金がもらえている人も多いですが、これからは年金だけでは生きていけない、と言う人も増えていくはずです。

だからと言って、年金制度が完全に崩壊したり、年金を払い続けてきたのにもらえる年金がゼロになってしまうようなことはあまり考えられません。なぜかというと、年金自体が「国の重要な機能の一つ」と言えるからです。

国の重要な機能は色々ありますが、そのうちの一つとしてとても重要な機能は、「所得の再分配」です。税金も、多く稼いだ人や多く持っている人からもらい、稼ぎが少ない人たちに配るという分配機能の一つですが、年金もその機能の一つです。稼いだ人は多くの年金保険料を払いますが、もらう額がそれほど多くなかったりします(もちろん、多く保険料を払ってきた人への年金額は相対的に大きくなります)。

国の重要な機能である分配機能が無くなるということは、国の崩壊を意味するでしょう。年金が無くなるということは、国もなくなってしまう。極端に言ってしまうとそうなります。国が機能している限り、年金が完全になくなることはないと考えられます。

だからと言って安心できるわけではありませんが、ある程度年金は当てにして、しっかり年金保険料を払い続けることが大切です。ただ、年金保険料や健康保険料をたくさん払い続けたとしても、その恩恵はあまり大きくありません。なので、それほど無理はせず、年金以外の投資などもしていかなければなりません。年金は当てにしてもいいですが、それだけでは不十分です。そのための投資については、これから学んでいきましょう。

人生とお金(15)高配当株などでキャッシュフローを得る

インデックスファンドに投資をして増やし、それを取り崩して生きていく、ということ以外にも、いい投資のやり方があります。

「高配当株に投資する」という考え方があります。高配当株とは、その名の通り株式で、毎年出した利益に対する配当を株主に還元する会社の株式です。有名な例では、JT(日本たばこ産業)の株式などがあり、JTでは、年6%(2022年11月現在の見込み)程度が配当として還元されます。例えばJT株を100万円分買ったら、毎年6万円(税金を引くと少し減りますが)が入金される、ということになります。

このような収入が見込まれる高配当の株式をどんどん買っていけば、多くの配当を毎年得られることとなります。これは「不労所得」になります。4%の配当を毎年もたらしてくれる株を3,000万円もっていれば、毎年120万円、つまり平均で毎月10万円の収入となります。これは、会社が倒産しなかったり、業績が悪くなって配当を減らしたりしなければ毎年収入として計算できるものです。業績などのチェックが必要となりますし、積み立てていくときには配当利回りとか業績などを確認して投資する必要はありますが、何もなければ、毎年しっかり収入になってくれるのですから、ありがたい存在です。

また、配当だけではなく、元本が値上がりして、資産が増えることも期待できるのが高配当株のいいところです。基本的には、大きく伸びる可能性のある成長株は配当を出していない、または配当がとても少ない会社が多いのですが、配当をしっかり出している企業でも、成長する会社があります。また全体の株価が上がっていくことで、高配当株の株価も騰がる可能性があるということになります。

高配当株には、日本の株式もあれば、海外の株式もあります。今はアメリカなど海外の株式を買うことも割と容易になっています。アメリカの高配当株は、毎年配当を増やしている「連続増配株」も多いですし、それらの高配当株をまとめたETF(上場している投資信託のようなもの)もあり、投資は割としやすいです。

先ほども述べましたが、これらの高配当株をコツコツ買っていけば、ある程度のキャッシュフローを得ることは可能です。買っていく過程で入ってくる配当をさらに元本に組み込んでいけば(複利)、元本の成長も見込め、さらに配当が増えるスピードが増すでしょう。私自身は高配当株をなかなか魅力的な投資だと認めて、今はコツコツと買って言っています。ただの高配当株ではなく、高配当の上に、配当や株価も上がっていく(増えていく)見込みのある株式を探し、投資しています。どうなるかはわかりませんが、選ぶ過程も楽しいですし、将来も楽しみです。  

将来のキャッシュフローを得るためには、高配当株はお勧めです。興味があればぜひすぐにでも初めてみてください。最近では少ない手数料で1株から買える証券会社も増えていますので、初めやすいかと思います。

人生とお金(14)インデックス投資を取り崩す

前項で述べた、「インデックス投資を取り崩していけば元本が減らない」ということについてもう少し詳しく述べてみます。インデックス投資で積み上げていったものを少しずつ取り崩していけば、老後も安心?、というお話です。

「老後2000万円問題」という話題が世間に広く知られることとなりました。年金をもらえるとしても、仕事引退時に、それ以外のお金2,000万円が不足するという試算です。平均寿命や生活費の実態調査などから計算されたものだと思います。イメージ的には、毎年300万円の生活費がかかるけれどもらえる年金は200万円で、年100万円不足する。それが20年間続くから2,000万円必要、という計算ではないかと思います。そして、その2,000万円を作るためには、引退まであと20年(例えば今45歳)であれば、毎年100万円ずつ積み上げていかなければならない、と考えている人が多いのではないでしょうか。

もちろん、2,000万円を作るためには、毎年100万円を20年貯めていかなければならない計算になりますし、2,000万円あるものを、そのように毎年100万円ずつ取り崩していき、その元本が増えないのであれば、その計算が正しいということになります。

ただ実際には、「運用」ということをしていくので、知識さえあれば、それほど厳しい計算にはなりません。

まず、老後2,000万円を信じて、例えば65歳(でなくてもいいですが)の引退時までの20年間に2,000万円を作りたい場合、毎年積み立てていくとともに利益を加算していく(複利の力を使う)のであれば、毎年100万円貯めなくても大丈夫です。絶対に5%の利率で回していけるというようなこともありませんが、例えばアメリカの株式に連動するインデックスファンドに投資すれば、これまでの実績からはそれが達成できるでしょう。そうすれば毎年80万円も必要なく、何と毎年60万円ちょっと積み立てていけば、20年で2,000万円になります。5%が無理だとしても3%で運用していけば、75万円の積み立てを20年間で2,000万円に達します。100万円も必要ありません。

また、引退時に貯めた2,000万円を、その後も5%で運用していけるのであれば、毎5%(100万円)取り崩したとしても元本がほとんど減らないため、ずっと元本を抱えたまま100万円を生活に使っていけることになります。もちろん、ずっと同じ利率で運用できるなんてことはなく、年によって波がありますし、元本が暴落することもあります。ただ、これまで100年程度の実績から見ても、上手く(それほど上手くなくてもいいですが)運用することさえ覚えれば、それ程ガツガツ貯めてガツガツ元本を減らして生きていく、という感じでなくても大丈夫なのです。それほど、複利の力は強い、ということです。

インデックスファンドに投資をして貯め、それを老後に取り崩していく場合、いろいろな障害があり、絶対に上手くいくかといえばそうではありません。ただ、基本的な考え方として覚えておけば、必ず役に立つはずです。

人生とお金(13) インデックス投資で資産を積み上げる

色々な形のFIREを達成するための、資産の積み上げ方について学んでいきましょう。資産にもいろいろありますが、基本的に「資産」というのは、本書では「定期的に利益を生み出してくれるもの」を差します。その資産としてまずは、「インデックス投資」について考えてみます。

「インデックス投資」とは、世界の株式の価格指数(インデックス)などに連動する(同じ値動きをする)投資信託などに投資をしていく方法です。投資信託を簡単に説明すると、大きな会社や組織が株式を大量に購入し、その一部を一般の投資家などが買う、というものです。投資信託というと、一般的には、証券会社などが大きく儲けることを狙って、値上がりしそうな株式を購入し(○○戦略ファンドなど、聞いたことがあるかもしれません)、そこに一般投資家が乗るというイメージがあるかもしれませんが、インデックス投資は、株式の指数、例えば日本では日経平均やTOPIXなどに連動するように株式を機械的に購入していくものです。イメージとしては○○戦略ファンドの方が成績がいいように思われているかもしれませんが、実際はそうではなく、インデックス投資の方が成績がいい、という場合が多数です。特に、ここ20年間程度、アメリカのS&P500という株価指数に連動するインデックスファンドに投資した場合、平均で年8%程度の運用益を得られている、という事実もあります。

毎月毎月、インデックス投資をし、資産を積み上げていけば、数十年後にはとても大きな資産となっている可能性があります。毎年6%とか8%の利回りというのはとても大きなものです。

「72の法則」という考え方があります。72を毎年の利回りで割ると、その運用している元本が2倍になる年数がわかる、という法則です。例えば、100万円を毎年6%で複利で運用できるのであれば、72÷6=12年で約2倍の200万円になります。そして24年で4倍、36年で8倍の800万円になります。さらに元本に加算して毎月どんどん積み立てていけば、資産が増えるスピードが速くなります。毎年6%で必ず運用できるわけではありませんが、ここまでそれに近い実績を上げているインデックスファンドもたくさんあるのです。

インデックスファンドを積み上げ、数十年後大きな資産を持つことが出来れば、引退後にそれを取り崩しながら生活していくことが可能です。毎年4%ずつ取り崩していけば、元本が全く減らない、という試算もあります。価格の上下などもあるので取崩は簡単ではありませんが、「生きていける」という安心感を得ることもできるでしょう。

インデックスファンドは、今から投資しても大きな利回りを得られないのではないか、と思う人が多いかもしれませんが、信じれば大きな実りをもたらしてくれるものではないかと考えています。もちろん万能ではありませんが、思い立ったらすぐ積み立てていくことが、将来の自分や家族を助けることに繋がるでしょう。

人生とお金(12)「FIRE」を達成する具体的方法

最近、巷で「FIRE」という言葉が流行しています。「FIRE」とは、Financial Independence, Retire Earlyの頭文字をとったもので、直訳すると、「経済的に自立して、早く引退する」という意味になります。

私個人的には、早く引退することはそれほどいいかと言われるとそうではないと思いますが、経済的に自立(会社などに頼らず生きられるようになる)して、好きなことをして過ごすことは素晴らしいことだと思います。FIREした人の多くは、「好きなことだけをやる」といっても結局仕事にしてしまう(稼げてしまう)ものだと思いますが、それを目指すことは悪くない選択と言えるでしょう。

FIREが可能な状態とは、簡単に言うと、「不労所得が生活費を超えている状態」ということが出来るでしょう。この状態に達するのは、非常に難しいことと言えます。例えば、生活費が年500万円だとすると、不労所得が500万円以上なければならず、そのために必要な元本は、年間の金利(元本から得られる利益)が4%とすると、125,000,000円(一億二千五百万円)ということになります。この元本を持っているということは、仕事で相当稼ぎ、さらに生活費や遊興費などもそれほど使わずにある程度の期間やってきたということを示します(稀に、先祖代々からの遺産という場合もありますが…)。稼いだとしても湯水のように使ってしまうようならこうはいきません。

生活費が500万円も必要ない、という場合はもっと元本が少なくても大丈夫です。独身で質素な暮らしを好み、大して浪費をしないのであれば、FIREは可能でしょう。年間生活費が200万円の場合、元本は5,000万円で済みます(それでも5,000万円、厳しいですが)。結局のところ、ある程度の稼ぎがあり、稼いでいても生活レベルをあまり上げないような人が、FIREできる可能性が高い、ということになります。

FIREを達成するためには、まずは生活レベルを上げないでお金を貯め、さらにFIRE後の生活レベルもあまり上げないという覚悟・実行力が必要となります。そして、お金を貯めるにしても、上手く投資をし、さらに投資をした後も、毎月や毎年定期的に入ってくるような収入を作っていかなければなりません。また、FIREするために資産を積み上げているときにも、資産から生まれる利益(配当など)を使わず、複利で増やしていった方が早いということで、なかなか厳しい条件が重なるものです。

ただ、FIREにもいろいろあり、生活費を完全に賄う完全FIREもあれば、生活費の一部や遊興費(いい意味での浪費)をまかなえばいいFIRE、住居費だけ足りればいいというFIREなど、人それぞれ、いろいろな形があるはずです。月5万円、プラスで入ってくるならば充分、という考え方もあります。それなりのFIREを目指せばよいのです。

結論的には、FIREを達成したいのであれば、まずは稼ぐこと、そして稼いでもそれほど生活レベルを上げず、利益を生む資産をコツコツ増やしていくこと、最終的には自分が納得いく利益を生んでくれる資産を持つ、という順でやっていくことになります。

人生とお金(11)“マイナスサム”のギャンブルを排除する

資産を積み上げ、不労所得を得て、将来がある程度安心な状態になるためには、ギャンブルを遠ざけた方がいいという話をします。私もギャンブルが好きで、そのせいで自分が理想とするほどの資産を築けておらず、まだまだ道半ばであります。ギャンブルが好きで、日常にギャンブルが入り込んでしまっている人の多くは、将来苦労することになるでしょう。今すぐギャンブルをなるべくやめていくことが大切と言えます。

ギャンブルの定義ですが、「マイナスサムになるもの」ということが出来ます。マイナスサムとは、それに取り組んだすべての人の収支をトータルするとマイナスになる、というゲームのことです。例えば競馬などの公営ギャンブルは、20%から30%程度の「テラ銭」(主催者の運営費用や利益)が引かれますので、マイナスサムゲームです。100円の馬券を買ったら、期待値(平均の払戻額)が75円になってしまうということです。ただ、個人的に競馬はとても面白いのでやめられません。多くの人も、勝ったときの気持ちよさに魅入られてやめることが出来ないです。タバコや麻薬(やったことはありませんが)のように、ギャンブルには依存性があります。

宝くじは、「貧者の税金」と言われたりするのですが、テラ銭が半分近く持っていかれます。ごくまれに大きな金額が当たり、人生が変わる(いい方向にも悪い方向にも)人がいますが、多くの人は一生当らず、負けて終わりです。

株式のトレードなどは、テラ銭が比較的小さいので「ゼロサムゲーム」(すべての人の収支トータルがゼロになる)と言われることもありますが、厳密に言うと手数料が取られるため、取引をやればやるほどマイナスサムゲームに近づいていきます。株をやるなら売買手数料は気をつけなければならない要素です。

お金を投資するものについては、ギャンブルの要素が強いものが多く含まれているので、気をつけなければなりません。一般的に「投資」と言われるものでも、ギャンブル的な要素が含まれているのです。例えば生命保険なども、「不幸なことが起こった(的中した)ときに払い戻されるギャンブル」と言い換えることもできますので、損をする人が多いのです。保険でテラ銭的要素があるのは、保険会社の利益です。保険会社は、的中率などがほぼ正確に予想できますので、調整することにより大きな利益を生むことが出来ます。保険会社の従業員の年収が高く、立派なビルが建っているのはそのおかげです。

もちろん、保険は必要なこともあります。当たる確率は低いけど、当たったら大きな損失を被ってしまう場合に、保険はとても有用です。ただ、必要のない保険に入るのはギャンブルをしているようなもので、無駄な場合も多いです。

投資には、いろいろな誘惑がついてきます。勉強しなければ騙されてしまう人も多いでしょう。「ギャンブル」をなるべく排除して(やりたい人は少額で)、賢く投資をしていきましょう。