理想の貸借対照表を作ろう(2)

先週は、理想の貸借対照表を作ろうという話をし
ました。

理想の貸借対照表とは、必要な生活費などのお金
を生み出す資産があり、負債がなく、その資産す
べてが純資産(正味の財産)であるものだと私は
考えています。

その理想の純資産の具体的な内容は、もちろんあ
くまでも人によって違いますが、次のような感じ
になります。

まず、生活防衛資金として、現金や預金が生活費
の2年分くらいあります。

そして、生活費を生み出す(←ここが重要です)
資産(配当金がもらえる株式とか、不動産などの
資産)が、生活費を賄える分くらいあります。

そして、持ち家があるのであれば、土地や建物が
あります。持ち家を持っていれば、必要生活費が
少し減る(家賃が必要ない)ので、上記の「生活
費を生み出す資産」の必要額が減るでしょう。

ただ、持ち家は持ち家で修繕や固定資産税などの
経費が掛かるので少し注意が必要で、生活費にそ
れらを入れないといけません。

そして、「年金資産」というものがあります。現
状では65歳以降に年金をもらえますが、それを生
み出す資産です。年金資産は、仕事をしながら給
料などをもらい、その給料の一部を蓄えてきたも
のですので、資産としてカウントします。年4%
などの利率で、もらえる年金から割り返せばよい
でしょう。

例えば年間160万円の年金をもらえるのであれば
(もらえる年金は、「ねんきんネット」などで計
算できます)、4%で割り返し、年金資産は
4,000万円ということになります。

あとは、計算が大変ですが、「労働資産」(もし
くは「人的資産」)を入れてもいいかもしれませ
ん。給料をもらっていれば、その給料から利率で
割り返して資産額を計算します。

例えば年収400万円であれば、4%で割り返すと
1億円の労働資産を持っていることになります。
ただ、この労働資産は年齢の経過とともに目減り
していくことが確実ですので、入れなくてもよい
かもしれません。

労働資産を入れずに、つまり、働かなくても収益
を生み出してくれる資産が充分あるかどうかを確
認するという形でもよいでしょう。

これらを計算し、あとは負債(住宅ローンなどの
借金)を右側に入れて、貸借対照表を作ってみて
ください。

四角の箱を2つ左右に書いて、左に資産、右の上
に負債を入れます。その差額を右下の「純資産」
として入れてもらえればと思います。

(左側の箱)      (右上の箱)
現金預金 600     住宅ローン 2,000
株式  2,000     投資用不動産の借入 3,000
投資用不動産 5,000
土地・建物 3,000    (右下の箱)
年金資産 4,000    純資産 9,600

上記はあくまでも例ですが、要するに左側の収益
を生み出してくれる「資産」を増やし、右上の負
債を減らし、純資産をなるべく多くしましょう、
ということになります。

理想としては、右上の借り入れがあまりないのが
私は好きで、それを目指していきます。

大事なのは、現状の貸借対照表と、自分が理想と
する貸借対照表を比較して、その差額を何年で埋
めていくかということを計画することです。

例えば現在、現金が100で、理想として20年後まで
に600にしたいのであれば、単純に
(600-100)÷20年=25(年間25増やしていく)
という計算をして、計画を立てていくことが大切
です。

もちろん、一直線で増えることはなく紆余曲折は
あるでしょうが、計画を立てて、実行していかな
ければ何にもなりません。

ぜひ、「自分が理想とする貸借対照表」を設定し、
今の貸借対照表を作り、そこに近づけるための計
画を立ててみてください。

理想の貸借対照表を作ろう(1)

皆さん、「貸借対照表」ってわかりますか。
「たいしゃくたいしょうひょう」と読みます。
ちんしゃく…ではありません。

自分がもし会社を経営していたとしたら、理想の
貸借対照表を作るのがいいと思いますし、家計に
おいても、理想の貸借対照表を作りましょう。

貸借対照表というのは、左側に持っている資産を
並べ、右側には負債を並べ、その差額を「純資産」
として計算したものです。

左側の資産とは、現金や貸しているお金、土地建
物、株などの金融資産、その他目に見えるもので
価値のあるもの、目に見えなくても価値があるも
のを言います。

右側の負債とは、借りているものです。例えば住
宅ローンとか、親や金融機関から借りているお金
など、今後払わなければならない金額です。

資産と負債の差額が純資産です。

資産が1,000万円あって、負債が500万円だと、純
資産は500万円ということになります。

資産1,000万円あっても、負債が1,500万円であれ
ば純資産はマイナス500万円となり、「債務超過」
(支払うべきものの方が多い)ということになり
ます。

純資産は多ければ多いほど良いのですが、あまり
に資産が多すぎてもよくない場合もありますし、
家計における純資産については、マイナスになっ
ている(債務超過)場合は、まずはプラスを目指
そう、ということになります。

そして、資産は、収益を生み出してくれるものが
よいでしょう。

配当を生み出してくれる株式とか、金利収入が入
るものでもいいですし、その資産から収益を得ら
れるものを増やしていきましょう。

土地や建物も、人に貸せば収益が入りますし、自
分が住むにしても、「家賃を払わなくていい」と
いう収益を生み出してくれると考えることができ
ます。

そして、負債はなるべく減らしていく方がいいか
もしれません。お金を借りて何かを買うと、資産
と負債の両方が増えます。そうすると貸借対照表
自体が膨らみますが、純資産があまり増えないこ
とになります。

貸借対照表はシンプルな方が良いかと思います。

例えば、生活のために必要な現金があり、土地と
建物(家)があり、配当を生み出してくれる株式
などがあり、それらの資産が生み出す収益が、生
活費として必要なお金を超えていれば、それでい
いでしょう。

生活費が年間300万円かかるとしたら、資産から
生み出される収益が300万円あればいい。それが
理想の貸借対照表かもしれません。

資産が例えば年5%の収益を生み出してくれると
したら、300万円を5%で割り返して、6,000万円
の「収益を生み出す資産」を持っていればいい
ということになります。

「そんなに持ってないし、持つのも大変」という
ことでしたら、「労働資産」とか「年金資産」を
貸借対照表の資産に入れればいいです。

長くなってしまうので、次号に続きます。

とにかく、お金のことでいろいろと悩むことは多
いと思いますが、

家計において、

「シンプルで、必要な生活費を生み出してくれる
資産があり、負債が少ない(ない)」

といった、理想の貸借対照表を作ることを目指し
ていこう。お金についてはそれで充分。そのため
にこれから何年かかけて何をしていくかを考えよ
う。

ということです。

次号でもう少し詳しくお話ししたいと思います。

多様性が認められることはいいことだ

「転職・求人サイトで、『フルリモート』希望者
が多い」という話を聞きました。

フルリモート希望者がほとんどを占めるという話
でしたが、実際には半分以下で、週3日や週2日
出勤、それ以外はリモートを希望する人が多い、
というのが実情のようです。

つまり、フルリモート希望の人もいれば、週1日、
2日、3日、4日出勤を希望する人もいるし、毎
日出勤したい、という人ももちろんいるでしょう。

勤務形態ひとつとっても、希望は多様化している、
ということだと思います。

リモート勤務は前からありましたが、コロナ社会
で加速しました。リモート勤務にはいいことも悪
いこともあると思いますが、通勤時間が減るとか、
面倒な付き合いが減り、仕事に集中できるるなど
のメリットはあるでしょう。

一方で、弊害もあるはずです。コミュニケーショ
ンが減るとか、場合によっては生産性が下がる可
能性があります。また、どうしてもリモートでは
仕事ができない、ということもあるでしょう。

大切なのは、これまでのように画一的でなく、
様々な希望が認められることではないでしょうか。

つまり、リモート勤務が毎日でもいいし、週2日
でもいいし、毎日出勤してもよい。

このような多様性が認められることが、勤務形態
に限らず、大切になってくると思います。

飲み会なども、行きたい人は行けばいいし、どう
しても行きたくない人は全くいかなくてもOK。

前は、お酒を飲まない人は変な目で見られました
が、お酒を飲まなくてもOK(酒を飲まない場合
の選択肢が狭い場合が多いですが)。

このように多様性が認められるようになったこと
はいい傾向ですし、これからも続けばいいと思い
ます。

みんなが一斉に通勤し、同じような服を着て、同
じような姿勢で仕事をしているとかは、ちょっと
気持ち悪いような気もします。

いろいろな形が認められるべきですし、個性や得
意なことを活かして、独自のやり方でやっていく
ことも大切なように感じます。

まだ不十分な所もありますが、このことが、ここ
数年で認められたり、推奨されるようになってき
たことは、とても喜ばしいことです。

最近では、平日昼間にぶらぶらしていても(僕の
ことです)、あまり変な目で見られないようにな
った気がします。

服装も気軽でいいですし、いい時代になってきた
なと感じることもあります。

みんなが同じことをしなくてもよくなった、とい
うのは喜ばしいです。

これからもっとその考え方が進めば嬉しいです。