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人生とお金(15)高配当株などでキャッシュフローを得る

インデックスファンドに投資をして増やし、それを取り崩して生きていく、ということ以外にも、いい投資のやり方があります。

「高配当株に投資する」という考え方があります。高配当株とは、その名の通り株式で、毎年出した利益に対する配当を株主に還元する会社の株式です。有名な例では、JT(日本たばこ産業)の株式などがあり、JTでは、年6%(2022年11月現在の見込み)程度が配当として還元されます。例えばJT株を100万円分買ったら、毎年6万円(税金を引くと少し減りますが)が入金される、ということになります。

このような収入が見込まれる高配当の株式をどんどん買っていけば、多くの配当を毎年得られることとなります。これは「不労所得」になります。4%の配当を毎年もたらしてくれる株を3,000万円もっていれば、毎年120万円、つまり平均で毎月10万円の収入となります。これは、会社が倒産しなかったり、業績が悪くなって配当を減らしたりしなければ毎年収入として計算できるものです。業績などのチェックが必要となりますし、積み立てていくときには配当利回りとか業績などを確認して投資する必要はありますが、何もなければ、毎年しっかり収入になってくれるのですから、ありがたい存在です。

また、配当だけではなく、元本が値上がりして、資産が増えることも期待できるのが高配当株のいいところです。基本的には、大きく伸びる可能性のある成長株は配当を出していない、または配当がとても少ない会社が多いのですが、配当をしっかり出している企業でも、成長する会社があります。また全体の株価が上がっていくことで、高配当株の株価も騰がる可能性があるということになります。

高配当株には、日本の株式もあれば、海外の株式もあります。今はアメリカなど海外の株式を買うことも割と容易になっています。アメリカの高配当株は、毎年配当を増やしている「連続増配株」も多いですし、それらの高配当株をまとめたETF(上場している投資信託のようなもの)もあり、投資は割としやすいです。

先ほども述べましたが、これらの高配当株をコツコツ買っていけば、ある程度のキャッシュフローを得ることは可能です。買っていく過程で入ってくる配当をさらに元本に組み込んでいけば(複利)、元本の成長も見込め、さらに配当が増えるスピードが増すでしょう。私自身は高配当株をなかなか魅力的な投資だと認めて、今はコツコツと買って言っています。ただの高配当株ではなく、高配当の上に、配当や株価も上がっていく(増えていく)見込みのある株式を探し、投資しています。どうなるかはわかりませんが、選ぶ過程も楽しいですし、将来も楽しみです。  

将来のキャッシュフローを得るためには、高配当株はお勧めです。興味があればぜひすぐにでも初めてみてください。最近では少ない手数料で1株から買える証券会社も増えていますので、初めやすいかと思います。

人生とお金(14)インデックス投資を取り崩す

前項で述べた、「インデックス投資を取り崩していけば元本が減らない」ということについてもう少し詳しく述べてみます。インデックス投資で積み上げていったものを少しずつ取り崩していけば、老後も安心?、というお話です。

「老後2000万円問題」という話題が世間に広く知られることとなりました。年金をもらえるとしても、仕事引退時に、それ以外のお金2,000万円が不足するという試算です。平均寿命や生活費の実態調査などから計算されたものだと思います。イメージ的には、毎年300万円の生活費がかかるけれどもらえる年金は200万円で、年100万円不足する。それが20年間続くから2,000万円必要、という計算ではないかと思います。そして、その2,000万円を作るためには、引退まであと20年(例えば今45歳)であれば、毎年100万円ずつ積み上げていかなければならない、と考えている人が多いのではないでしょうか。

もちろん、2,000万円を作るためには、毎年100万円を20年貯めていかなければならない計算になりますし、2,000万円あるものを、そのように毎年100万円ずつ取り崩していき、その元本が増えないのであれば、その計算が正しいということになります。

ただ実際には、「運用」ということをしていくので、知識さえあれば、それほど厳しい計算にはなりません。

まず、老後2,000万円を信じて、例えば65歳(でなくてもいいですが)の引退時までの20年間に2,000万円を作りたい場合、毎年積み立てていくとともに利益を加算していく(複利の力を使う)のであれば、毎年100万円貯めなくても大丈夫です。絶対に5%の利率で回していけるというようなこともありませんが、例えばアメリカの株式に連動するインデックスファンドに投資すれば、これまでの実績からはそれが達成できるでしょう。そうすれば毎年80万円も必要なく、何と毎年60万円ちょっと積み立てていけば、20年で2,000万円になります。5%が無理だとしても3%で運用していけば、75万円の積み立てを20年間で2,000万円に達します。100万円も必要ありません。

また、引退時に貯めた2,000万円を、その後も5%で運用していけるのであれば、毎5%(100万円)取り崩したとしても元本がほとんど減らないため、ずっと元本を抱えたまま100万円を生活に使っていけることになります。もちろん、ずっと同じ利率で運用できるなんてことはなく、年によって波がありますし、元本が暴落することもあります。ただ、これまで100年程度の実績から見ても、上手く(それほど上手くなくてもいいですが)運用することさえ覚えれば、それ程ガツガツ貯めてガツガツ元本を減らして生きていく、という感じでなくても大丈夫なのです。それほど、複利の力は強い、ということです。

インデックスファンドに投資をして貯め、それを老後に取り崩していく場合、いろいろな障害があり、絶対に上手くいくかといえばそうではありません。ただ、基本的な考え方として覚えておけば、必ず役に立つはずです。

人生とお金(13) インデックス投資で資産を積み上げる

色々な形のFIREを達成するための、資産の積み上げ方について学んでいきましょう。資産にもいろいろありますが、基本的に「資産」というのは、本書では「定期的に利益を生み出してくれるもの」を差します。その資産としてまずは、「インデックス投資」について考えてみます。

「インデックス投資」とは、世界の株式の価格指数(インデックス)などに連動する(同じ値動きをする)投資信託などに投資をしていく方法です。投資信託を簡単に説明すると、大きな会社や組織が株式を大量に購入し、その一部を一般の投資家などが買う、というものです。投資信託というと、一般的には、証券会社などが大きく儲けることを狙って、値上がりしそうな株式を購入し(○○戦略ファンドなど、聞いたことがあるかもしれません)、そこに一般投資家が乗るというイメージがあるかもしれませんが、インデックス投資は、株式の指数、例えば日本では日経平均やTOPIXなどに連動するように株式を機械的に購入していくものです。イメージとしては○○戦略ファンドの方が成績がいいように思われているかもしれませんが、実際はそうではなく、インデックス投資の方が成績がいい、という場合が多数です。特に、ここ20年間程度、アメリカのS&P500という株価指数に連動するインデックスファンドに投資した場合、平均で年8%程度の運用益を得られている、という事実もあります。

毎月毎月、インデックス投資をし、資産を積み上げていけば、数十年後にはとても大きな資産となっている可能性があります。毎年6%とか8%の利回りというのはとても大きなものです。

「72の法則」という考え方があります。72を毎年の利回りで割ると、その運用している元本が2倍になる年数がわかる、という法則です。例えば、100万円を毎年6%で複利で運用できるのであれば、72÷6=12年で約2倍の200万円になります。そして24年で4倍、36年で8倍の800万円になります。さらに元本に加算して毎月どんどん積み立てていけば、資産が増えるスピードが速くなります。毎年6%で必ず運用できるわけではありませんが、ここまでそれに近い実績を上げているインデックスファンドもたくさんあるのです。

インデックスファンドを積み上げ、数十年後大きな資産を持つことが出来れば、引退後にそれを取り崩しながら生活していくことが可能です。毎年4%ずつ取り崩していけば、元本が全く減らない、という試算もあります。価格の上下などもあるので取崩は簡単ではありませんが、「生きていける」という安心感を得ることもできるでしょう。

インデックスファンドは、今から投資しても大きな利回りを得られないのではないか、と思う人が多いかもしれませんが、信じれば大きな実りをもたらしてくれるものではないかと考えています。もちろん万能ではありませんが、思い立ったらすぐ積み立てていくことが、将来の自分や家族を助けることに繋がるでしょう。

人生とお金(12)「FIRE」を達成する具体的方法

最近、巷で「FIRE」という言葉が流行しています。「FIRE」とは、Financial Independence, Retire Earlyの頭文字をとったもので、直訳すると、「経済的に自立して、早く引退する」という意味になります。

私個人的には、早く引退することはそれほどいいかと言われるとそうではないと思いますが、経済的に自立(会社などに頼らず生きられるようになる)して、好きなことをして過ごすことは素晴らしいことだと思います。FIREした人の多くは、「好きなことだけをやる」といっても結局仕事にしてしまう(稼げてしまう)ものだと思いますが、それを目指すことは悪くない選択と言えるでしょう。

FIREが可能な状態とは、簡単に言うと、「不労所得が生活費を超えている状態」ということが出来るでしょう。この状態に達するのは、非常に難しいことと言えます。例えば、生活費が年500万円だとすると、不労所得が500万円以上なければならず、そのために必要な元本は、年間の金利(元本から得られる利益)が4%とすると、125,000,000円(一億二千五百万円)ということになります。この元本を持っているということは、仕事で相当稼ぎ、さらに生活費や遊興費などもそれほど使わずにある程度の期間やってきたということを示します(稀に、先祖代々からの遺産という場合もありますが…)。稼いだとしても湯水のように使ってしまうようならこうはいきません。

生活費が500万円も必要ない、という場合はもっと元本が少なくても大丈夫です。独身で質素な暮らしを好み、大して浪費をしないのであれば、FIREは可能でしょう。年間生活費が200万円の場合、元本は5,000万円で済みます(それでも5,000万円、厳しいですが)。結局のところ、ある程度の稼ぎがあり、稼いでいても生活レベルをあまり上げないような人が、FIREできる可能性が高い、ということになります。

FIREを達成するためには、まずは生活レベルを上げないでお金を貯め、さらにFIRE後の生活レベルもあまり上げないという覚悟・実行力が必要となります。そして、お金を貯めるにしても、上手く投資をし、さらに投資をした後も、毎月や毎年定期的に入ってくるような収入を作っていかなければなりません。また、FIREするために資産を積み上げているときにも、資産から生まれる利益(配当など)を使わず、複利で増やしていった方が早いということで、なかなか厳しい条件が重なるものです。

ただ、FIREにもいろいろあり、生活費を完全に賄う完全FIREもあれば、生活費の一部や遊興費(いい意味での浪費)をまかなえばいいFIRE、住居費だけ足りればいいというFIREなど、人それぞれ、いろいろな形があるはずです。月5万円、プラスで入ってくるならば充分、という考え方もあります。それなりのFIREを目指せばよいのです。

結論的には、FIREを達成したいのであれば、まずは稼ぐこと、そして稼いでもそれほど生活レベルを上げず、利益を生む資産をコツコツ増やしていくこと、最終的には自分が納得いく利益を生んでくれる資産を持つ、という順でやっていくことになります。

人生とお金(11)“マイナスサム”のギャンブルを排除する

資産を積み上げ、不労所得を得て、将来がある程度安心な状態になるためには、ギャンブルを遠ざけた方がいいという話をします。私もギャンブルが好きで、そのせいで自分が理想とするほどの資産を築けておらず、まだまだ道半ばであります。ギャンブルが好きで、日常にギャンブルが入り込んでしまっている人の多くは、将来苦労することになるでしょう。今すぐギャンブルをなるべくやめていくことが大切と言えます。

ギャンブルの定義ですが、「マイナスサムになるもの」ということが出来ます。マイナスサムとは、それに取り組んだすべての人の収支をトータルするとマイナスになる、というゲームのことです。例えば競馬などの公営ギャンブルは、20%から30%程度の「テラ銭」(主催者の運営費用や利益)が引かれますので、マイナスサムゲームです。100円の馬券を買ったら、期待値(平均の払戻額)が75円になってしまうということです。ただ、個人的に競馬はとても面白いのでやめられません。多くの人も、勝ったときの気持ちよさに魅入られてやめることが出来ないです。タバコや麻薬(やったことはありませんが)のように、ギャンブルには依存性があります。

宝くじは、「貧者の税金」と言われたりするのですが、テラ銭が半分近く持っていかれます。ごくまれに大きな金額が当たり、人生が変わる(いい方向にも悪い方向にも)人がいますが、多くの人は一生当らず、負けて終わりです。

株式のトレードなどは、テラ銭が比較的小さいので「ゼロサムゲーム」(すべての人の収支トータルがゼロになる)と言われることもありますが、厳密に言うと手数料が取られるため、取引をやればやるほどマイナスサムゲームに近づいていきます。株をやるなら売買手数料は気をつけなければならない要素です。

お金を投資するものについては、ギャンブルの要素が強いものが多く含まれているので、気をつけなければなりません。一般的に「投資」と言われるものでも、ギャンブル的な要素が含まれているのです。例えば生命保険なども、「不幸なことが起こった(的中した)ときに払い戻されるギャンブル」と言い換えることもできますので、損をする人が多いのです。保険でテラ銭的要素があるのは、保険会社の利益です。保険会社は、的中率などがほぼ正確に予想できますので、調整することにより大きな利益を生むことが出来ます。保険会社の従業員の年収が高く、立派なビルが建っているのはそのおかげです。

もちろん、保険は必要なこともあります。当たる確率は低いけど、当たったら大きな損失を被ってしまう場合に、保険はとても有用です。ただ、必要のない保険に入るのはギャンブルをしているようなもので、無駄な場合も多いです。

投資には、いろいろな誘惑がついてきます。勉強しなければ騙されてしまう人も多いでしょう。「ギャンブル」をなるべく排除して(やりたい人は少額で)、賢く投資をしていきましょう。

人生とお金(10)不労所得を永続的に得る方法

「不労所得」は、永続的に生み出されるからこそいいのです。なぜかと言うと、一時的にしか得られない所得であれば、仕事をやめた後のお金の保全になるかどうかの確実性がありません。年金も不労所得の一部ですが、年金のように毎年、決まった額が入るからこそ、仕事をやめた後に安心して生きていけるのです。そのための不労所得について、もう少し考えてみましょう。

今書いたのですが、「年金」も不労所得です。20歳になってからコツコツと数十年、会社から年金を引かれて納めてきました。その結晶が年金となり、65歳以降は働かなくてもお金を亡くなるまで得ることが出来るのです。

不労所得には年金以外にもいろいろとあり、年金だけで足りない場合が多いからこそ、不労所得を得られるように積み上げていく必要があります。まず、代表的な不労所得である「配当」を永続的に受け続けていくためには、配当を生み出す株式を取得する必要があります。株式を取得するためには、例外もありますがもちろん現金を差し出して、株式を買う必要があります。株式100万円から生み出される配当金は、銘柄によって本当に様々で、配当を出さない会社はゼロ円ですし、5%以上の配当利回りを受けられる銘柄もあります。自分が作った会社であったり、上場前に何らかの理由で多くの株式数を保有している場合を除いては、身銭を切って株式を取得し、その配当を得ることが必要です。ただ、年間例えば120万円(月間10万円)の配当を得ようと思うと、配当の率(配当利回り)が4%だとすると、3,000万円の元本(株式)が必要となります。それを積み上げるのは結構大変ですが、若いうちから毎月・毎年、高利回りの配当を生み出す株式を買い続けることで、それを実現化することが可能になるのです。

また、株式以外にも不動産所得などで永続的に不労所得を得ることが可能です。例えば5,000万円の不動産を購入し、毎年300万円の不動産所得(利益)を得ることが出来るならば、その利回りは6%となります。不動産所得は、物件の持ち主がメンテナンスをしなければならずその費用が掛かりますし、空室が出ると想定した利回りを得られない場合がありますが、不労所得と言えるでしょう。これも不動産を買って物件を増やしていけば不労所得が増えますが、すぐにできるわけではありません。

要するに、なるべく早いうちからコツコツと資産を積み上げていくことが、不労所得を得るために必要なこと、ということが出来るでしょう。それさえ出来、途中でやめることがなければ、必ず不労所得を得ることが可能です。そして、不労所得は、資産が多ければ多いほど増えていきます。とにかく、今からでも資産(将来の利益を生み出してくれるものが資産です)を買って、積み重ねていくことが大切です。

人生とお金(9) 「不労所得」を得る必要がある(不労所得入門)

引退までにある程度のお金を貯め、引退後は年金と蓄えの取り崩しによって生きていく、その概算を設計しよう、というお話をしましたが、ここで少し話を変えてみます。単純に貯金をして、それを取り崩していくという概念を取り払うことが出来るものがあります。それが「投資」や「不労所得」ということになります。

前項で、「老後2,400万円のお金が必要」ということを書いたのですが、「投資」や「不労所得」について学び、実行できれば、2,400万円も貯金をする必要がなくなります。

まずは、不労所得について考えてみましょう。不労所得とは、ある程度の財産があり、その財産が「毎年(毎月)お金を生み出すもの」であれば、毎年の収入を確保できる、というものです。仕事をやめた後に必要なお金が毎年300万円とします。この時、年金が年200万円しかもらえないのであれば、毎年100万円不足しますよね。この100万円の不足はそのままでは何ともならないので、毎年の生活費などを削って200万円で生きていく必要があります。

ところが、毎年100万円、仕事をしなくても入ってくるお金があるのであれば、その不足額を補うことが出来ます。この100万円が「不労所得」ということです。基本的過ぎて拍子抜けでしょうか。

不労所得には、本当にさまざまなものがあります。例えば毎年配当金を生み出してくれる株式や、不動産を買って賃貸に出し、その賃貸料も不労所得ということになります。ある事業を興してその会社株式を持ったとして、その仕事をやめた後にもその会社が儲かって配当を出してくれれば、それも不労所得ということになります。もちろん、不労所得を生み出すまでには労力が必要ですし、特に不動産所得などはメンテナンスなどが必要で労力を要する場合もありますが、基本的にはあくせく働かなくても入ってくるお金ですので、不労所得と言えるでしょう。

不労所得を得るためには、その所得を生み出してくれる「資産」を買い、積み重ねていく必要があります。所得を生み出してくれるのが「資産」ですので、まずは効率よく不労所得を生み出してくれる資産を買っていくことを考えなければなりません。もちろん、「預金」や「貯金」も不労所得ではありますが、その利率はとても低く、充分な不労所得を生み出してはくれません。だから「投資」を正しく学ぶ必要があるのです。

私個人としては、「高配当株」をコツコツ毎月購入して、将来の不労所得を得ようとしています。高い配当を出してくれる株式を購入し、決算状況などを見ながらメンテナンスしていきます。上手くいけば、毎年資産残高の3~4%位は入ってくる計算となります。年100万円の配当を生み出してくれる元となる資産は、年利3%の場合で3,300万円程度必要となります。それに達するまでコツコツ投資をしていくのは大変ですが、将来ずっと(メンテが必要ですが)不労所得を生み出してくれる、優秀な資産ということが出来そうです。

人生とお金(8)引退までのお金を設計する

「自分は死ぬまで働かない」と決めた場合、引退までと引退後のお金の設計をする必要があります。引退後に困ったり路頭に迷ったりしないように、引退までにいくらのお金を作るか、引退後にどのようにお金が入ってくる仕組みを作るか、ということが大切になります。

わかりやすく例を出してみましょう。今の年齢が50歳、死ぬ年齢(自分で勝手に決めたもの)が90歳、そして仕事は70歳くらいで辞めるかな。と決めたとします。

ご多分に漏れず私もですが、多くの人はそれほどこれまでにお金を貯めたりしてはいないのではないかと思います。子どもの教育費が相当かさんだり、住宅ローンがまだまだたくさん残っていて返済が大変だったり、いろいろな事情で十分なお金を貯めているという人は割と少ないと想像します。そこで、現在の手持ちを大胆に0円としてしまいます。50歳の貯金額の平均値や中央値はある程度あるはずですが、マイナスの人(借金状態)もいると仮定し、ゼロと保守的に見積もってみます。

そして、引退後に十分な年金が確保されていそうだ、と言う人もそれほど多くはないと想像します。もちろん、20歳そこそこからずっとしっかり、汗水たらして会社に貢献して働いてきたという人は、ある程度の年金額になっているでしょうからあまり心配はありませんが、いろいろな事情で年金がしっかり確保できていない、と言う人も多いでしょう。私も自営業者で国民年金だけを払っていた時期もありますので、充分生きていける年金が確保できているというわけではありません。

ただ、年金制度では、「老齢基礎年金」(国民年金の1階部分)がフルでもらえる加入期間40年に達していない場合は、60歳を超えても継続して加入して年金保険料を払う、という方法や、65歳からもらえる年金を70歳までもらわず、繰り下げて受給するといったやり方もあります。これ以降、年金額を増やすこともできるのです。諦めずに、死ぬまでもらえる年金を増やしていきましょう。

話を戻し、70歳からもらえる年金が例えば夫婦で月20万円(もう少しもらえる人も多いでしょうが)として、充分な暮らしをするために月30万円必要だと考えたとすると、月10万円足りません。70歳から90歳まで月10万円、総額は2,400万円足りない、ということになります。つまり、70歳までに2,400万円ないと困る、というわけです。まさに「2,000万円問題」に近い数字です。  この2,400万円を、何としても70歳までに仕事をしながら貯めていかなければいけません。子ども2人が55歳くらいで巣立つ(割と標準的なモデル化と思います)と考えると、55歳から本格的に蓄財して70歳までに2,400万円貯める、つまり年間160万円程度溜めていく必要がある、ということになるでしょう。実際には、後述する投資・運用によってそんなに貯めなくてもいい形にはなりますが、そのような計算をしておくかしないかで、その後のお金についての取り組み方が変わってきて、その後の幸福度も変わってくるでしょう。まずは、概算でいいので、そのような計算をしてみることが大切です。

人生とお金(7)いつ引退できるのかを考える

さて、引退時に必要なお金を計算したら、次に「投資をすることでその金額を確保する」ということを考えたいのですが、その前に、「いつ引退することが出来るのか、または、引退しないのか」などということを考えてみましょう。

初めに結論を言いますと、「これからは、あえて引退しなくてもいいのでは」というのが、私の考えです。たとえ、今勤めている会社を65歳で辞めなければならないにしても、その後も自分で仕事を見つけ、働き続けるのです。もちろん、雇われる仕事でもいいですし、逆に、自分で人を雇うなどしてやる仕事、また、自分一人で稼ぐ仕事。なんでもいいので、ずっと「仕事をして稼ぐ」ということを続けることが必要になってくるでしょう。

人間の寿命は、どんどん延びていっています。現在の平均寿命で言うと、男性が81歳、女性が87歳くらいですが、これからもっと延びると言われています。これは私の勝手な予想ですが、今の50代で言うと90歳くらいまで生きる人が多く、20代などの若い人は100歳まで生きる人が多くなるはずです。100歳まで生きる人が多くなるでしょう。

そうなると、例えば65歳で定年退職、その後は悠々自適というにも、その期間が長すぎます。お金が尽きるかもしれませんし、やることがなくてつらい日々を送ることになるかも知れません。それであれば、なんでもいいので仕事をして稼ぐほうがいいに違いありません。 何とか、これからもずっと仕事が出来るように考える必要があるでしょう。

もちろん、考え方は人それぞれですので、充分な財産を持って引退するということもアリです。ただ、60歳や65歳で十分な財産を確保し、それ以降の必要なキャッシュフローを確保して、悠々生きていける人はこれからますます減るはずです。100歳までの十分な財産や毎年入ってくるお金を、60歳までに作ることも難しいですし、逆にいつ死ぬかもわからないのに、必死に(そうではない人もいますが)財を蓄えるのもしんどいでしょう。

よく言われることではありますが、「長生きリスク」に備えるためには、「一生仕事をして稼ぐ」ことが今後はスタンダードになるものと思われます。その覚悟というか希望を持って生きていきましょう。

どうしても仕事をずっとするのは勘弁してほしい、ゆっくりしたいという人は、「いつ引退できるのか」ということを考えておく必要があります。100年生きる前提で、引退後100歳までに必要な貯金、または、毎年必要なお金が入ってくるシステムを確保することを設計する必要があるでしょう。そのうえで、「引退できる年齢」を自分で決めて、そこに向かって突き進む必要があります。

「死ぬまで仕事をする。私は引退しない」と決めてしまうのであれば、それはそれで楽になるはずです。自分はどのようにするのか、いつまで仕事をするかということをしっかりと考え、決めておきましょう。

人生とお金(6)引退時にどのような状態にするのかを決める

引退後の生活費、収入などを計算したら、「引退時にどれくらいのお金を持っていればいいか」ということがある程度決まるでしょう。それが決まれば、その状態を作るために、これから何をどうしていけばよいか、ということもある程度決めることが可能になるはずです。

例えば、自分は現在50歳であり、70歳まで仕事をしたい、また、自分の健康状態などから見て、90歳まで生きると考えたとします。「何歳まで生きるか」ということは、誰にも予想がつかないものですので、これはあくまで自分が勝手に推定して決めてもいいということになります。もちろん120歳を目指して生きると決めてもいいでしょう。

それを決めたら、引退後に必要な生活費を決めてしまいます。これも、自分が決めなければなりません。統計を見て標準的な額を当てはめるという手もありますが、基本的には、自分が決めていいのです。月100万円を使ってぜいたくな暮らしを続けてもいいでしょうし(破綻する可能性が増えますが)、標準的に夫婦2人で月25万円、などと決めてしまってもいいです。Excelなどで生活費を項目ごとに積み上げて計算するのが良いでしょう。これを例えば30万円とします。そして、次に年金のもらえる額を計算します。毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」に、もらえる年金の概算の額が書いてあります。これはあくまで「今までの実績による年金額」ですので、これから年金にどれくらい加入するか、年金を60歳までに何か月分支払うことになるか、そしてこれからの給与額などによって変わってきます。20歳になってから60歳までの40年間、しっかり払っていたら、「老齢基礎年金」として年間約78万円(令和3年)をもらうことが出来ます。加入月数が減ればその分減っていきます。

会社員だった場合や、会社を経営して厚生年金を支払ってきた場合は、老齢厚生年金をもらうことが出来ます。これは実績の給与額によってだいぶ変わってきます。自営業(個人事業主)の期間が長かった場合などは、この老齢厚生年金がなかったり額が少なかったりします。老齢厚生年金も、これまでの実績による支給額が「ねんきん定期便」に載ってきますので、計算してみてください。

決めた引退後の生活費から年金額を引き、それに(自分が死ぬ年齢-引退年齢)を掛けると、引退時に必要な貯金額が計算されます。上記に示した今の年齢から引退年齢までの年数は20年ですので、例えば生活費から年金額を引いた金額が150万円とすると、引退時に必要な金額は3,000万円となります。

実は、投資を行って上手く運用することで、単純に3,000万円を貯める必要がなくなりますし、3,000万円を死ぬまで残せるかどうかという心配も減るのですが、まずは単純に、ここでは「引退時にいくら必要か」ということを計算出来たということになります。この数字を一度出しておきましょう。