さて、引退時に必要なお金を計算したら、次に「投資をすることでその金額を確保する」ということを考えたいのですが、その前に、「いつ引退することが出来るのか、または、引退しないのか」などということを考えてみましょう。
初めに結論を言いますと、「これからは、あえて引退しなくてもいいのでは」というのが、私の考えです。たとえ、今勤めている会社を65歳で辞めなければならないにしても、その後も自分で仕事を見つけ、働き続けるのです。もちろん、雇われる仕事でもいいですし、逆に、自分で人を雇うなどしてやる仕事、また、自分一人で稼ぐ仕事。なんでもいいので、ずっと「仕事をして稼ぐ」ということを続けることが必要になってくるでしょう。
人間の寿命は、どんどん延びていっています。現在の平均寿命で言うと、男性が81歳、女性が87歳くらいですが、これからもっと延びると言われています。これは私の勝手な予想ですが、今の50代で言うと90歳くらいまで生きる人が多く、20代などの若い人は100歳まで生きる人が多くなるはずです。100歳まで生きる人が多くなるでしょう。
そうなると、例えば65歳で定年退職、その後は悠々自適というにも、その期間が長すぎます。お金が尽きるかもしれませんし、やることがなくてつらい日々を送ることになるかも知れません。それであれば、なんでもいいので仕事をして稼ぐほうがいいに違いありません。 何とか、これからもずっと仕事が出来るように考える必要があるでしょう。
もちろん、考え方は人それぞれですので、充分な財産を持って引退するということもアリです。ただ、60歳や65歳で十分な財産を確保し、それ以降の必要なキャッシュフローを確保して、悠々生きていける人はこれからますます減るはずです。100歳までの十分な財産や毎年入ってくるお金を、60歳までに作ることも難しいですし、逆にいつ死ぬかもわからないのに、必死に(そうではない人もいますが)財を蓄えるのもしんどいでしょう。
よく言われることではありますが、「長生きリスク」に備えるためには、「一生仕事をして稼ぐ」ことが今後はスタンダードになるものと思われます。その覚悟というか希望を持って生きていきましょう。
どうしても仕事をずっとするのは勘弁してほしい、ゆっくりしたいという人は、「いつ引退できるのか」ということを考えておく必要があります。100年生きる前提で、引退後100歳までに必要な貯金、または、毎年必要なお金が入ってくるシステムを確保することを設計する必要があるでしょう。そのうえで、「引退できる年齢」を自分で決めて、そこに向かって突き進む必要があります。
「死ぬまで仕事をする。私は引退しない」と決めてしまうのであれば、それはそれで楽になるはずです。自分はどのようにするのか、いつまで仕事をするかということをしっかりと考え、決めておきましょう。